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2017-08

チームのちから - (続)大同心稜・横岳 - 2010.02.14 Sun

書店のビジネス書棚の前に行くと、「チーム」作りを取り上げた本が沢山あります。

「硬直化した組織は、チームが変える」
「チームは、メンバーが有機的に結びついて機能する」
「チームの成功は、チームメンバーが持つ目的の一致にある」
「チームメンバーの方向性を決めるリーダーの役割が大切だ」などなど。

本で読んだチーム作りのノウハウを語る人に出会った時、その人とチームを作りたいと直感できるでしょうか?

ぼくは、最近、きっと一生忘れられないチームを経験しました。
今日は、その話をしたいと思います。

2010年2月7日、ぼくは、八ヶ岳連峰の大同心稜から横岳に登りました。
大同心稜・横岳登山は、こちら

その時のパーティは、ガイドさん2人、グループ参加の上嶋山岳会メンバー6名、そしてぼくでした。
山岳会メンバーは、年齢的にも体力豊富で、かつ登山を熱心に練習する強靭な皆さんであり、ぼくは、勾配の急な道を歩き始めてすぐに、自分が年齢的にも経験的にも、一番弱い立場にあることを痛感しました。

そして、メンバーと出会ってから、約1時間後。
ぼくたちは、2つのチームに分かれて、ザイルで結ばれました。
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(大同心稜の取り付きにて、準備中)

ザイルで結ばれるというのは、物理的に「紐」で繋がった運命共同体になるということです。
その結果、歩く時も、休む時も、そして突風に会う時も、すべて同じ経験を共有することになります。

ぼくのブログを観て頂いている方には、ザイルで繋がった経験をお持ちで無い方も多くいらっしゃると思います。
この紐で繋がれた状態を、どう思われますか?

窮屈だなあ。 しんどそうだなあ。 ペースが崩れちゃうなあ。 危険に巻き込まるとイヤだなあ。

そう思われてたとしても、当然だと思います。

ぼくのチームは、山岳ガイドの成田さんをリーダーに、夏山を中心に北アルプスでも経験を積んできた中山洋さん、そして冬の富士山に毎週登るというNoayamanこと、宮崎さん、そしてぼくの4名です。
もう一つのチームは、今日の全体リーダーを兼ねる中島さん、上嶋山岳会のメンバー4名で、その中にはクライミングもお得意な女性も含まれていました。

ザイルで繋がったぼくたちメンバーは、全体リーダーの中島さんの全体方針を踏まえて、山岳ガイド 成田さんの行軍戦略やチーム全体の安全確保を基盤に、ルートファインディング、確保などの役割を交代しながら、進んで行きます。
1_100206横岳+072

ぼくは正直に、他のメンバーのように高度な機能が果たせなくても、やるべきことは、前に向かってベストを尽くして一歩一歩、歩くことだと思っていました。
もちろん、その場その場で、鋭いアドバイスをもらうことは多々ありましたが、その指摘もチーム全体が安全に前に進むという視点が明確でした。

1_100206横岳+063

出会ったばかりのメンバーは、誰一人として、「もっと早く歩くべきだ」とか、「リードを変わるべきだ」とか、そんなことを言う人はいません。
逆にそれが申し訳なくて、息も切れ切れになりながら、御礼を言うのが精一杯でした。

ぼくは、横岳の山頂で、娘と作ったママへのバースデイカードを掲げて、一枚の写真を撮ってもらいました。
チームのみなさんに沢山仕事をしてもらいながら、家族に捧げる写真を撮る時だけ、ニコニコしているなんて、ごめんなさいね、と思いながら。

家族の指摘では、日常の生活の中で、どうやらぼくは、難しい顔をしていることが多いようです。
難しい顔をしている人がいると、なんだか つまらないですよね。
でも、ぼくの 楽しい顔って、どんな顔だったかな。自分でも分からなくなることがあります。

だから、家族にも見せたいほど、自分が素敵だと思う場所で、自分の笑顔を取り戻して、日頃表現できない思いを込めて、ハッピーバースデーを言いたいと思いました。

とても驚いたのですが、下山した後、ザイルを共にした皆さんから、そんな僕の行動に感動しました!と、心のこもった熱いメッセージを頂くことが出来ました。
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ザイルは別でしたが、一緒にあるいた皆さんからも、「あの強烈な体験を共有した仲間として、また一緒に、山に行きましょう」というメッセージを頂きました。
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胸が熱くなるほど、本当に、うれしいです。
ぼくにも、チームの皆さんにパッションを与えるという役割が果たせたのかもしれません。

白くて風が強い尾根を歩くパーティ全体が一つのチームとして、物理的な紐で繋がった関係を超えて、気持ちと気持ちが通じ合っていたんですね。
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待ち遠しかった休憩の時、皆さんとても、元気な笑い声で一杯でした。
こんな楽しい登山があるんだなぁ、と初めて思いました。
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出会ってからの時間は短くとも、同じ体験を共有しながら、
確実にチームとして、みんなが、それぞれの役割を果たして、
きちんと成果を残すことが出来る人と人とのつながり。

とてもプロダクティブなチームです。

これが、そのチームです。
2_100206横岳+082
(大同心の頂上にて)

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(今日の行程を終えて、お疲れ様)

上嶋山岳会の皆さんと その仲間達!
本当に、ありがとうございました。
3_DSC_6123.jpg

今日の記事の写真は、登攀ガイドの中島佳範さん撮影の写真を使わせて頂きました。
中島さんの「やま工房」はこちら

山岳ガイド 成田賢二さんの写真もそうなのですが、みなさんが生き生きと見える素晴らしい写真が、とても沢山あります。

ぼくは、これはきっと、大自然というフィールドの中で、チームメンバーが力を出せるルートやコンディションを考え抜いたリーダーだけが切り取りうるシーンなんじゃないかな、と思っています。

ぼくが、素晴らしい仲間達と出会えたのも、中島さん・成田さんというリーダーのおかげです。
16 guide
(右:中島佳範さん、左:成田賢二さん)

チームをつくり、機能させることに限って言えば、
誰かが成功させたチーム事例を分析して一般化したり、
チームの成果を評価と称して、事後的に高所から あれこれ言うだけの役割に、
どれだけの意義があるのでしょうか。

現実の職場で、また危機に直面するかもしれない場面で、
実際にチームを組成し、機能させるためには、自分単独の頭にある分析力に加えて、大きな”何か”が必要なのだと思います。

その”何か”は、本を読んだり、人に聞いたりするだけで体得できるものではなくて、自分の経験の中から蒸留され、血肉となって初めて、その何たるかがわかり、そして機能するようにも思います。

ぼくも、もっともっと 経験が必要です。

これからも、八ヶ岳で出会ったみなさんと大自然の中で、経験が積めたらうれしいです。
よろしくお願いします。

me_2.jpg
(あまり姿をおみせしておりませんが、わたしです)

● COMMENT ●

僕の大切な出会い

このお話は、とても好きなんで何回も読みました!
素敵な出会いをされた、も~り~さんの気持ちがスゴく伝わってきました(^O^)b
ザイルで結ばれていると言う感覚、そしてザイルで結ばれた経験がない僕には、そのマイナスな気持ちも確かにある!と、率直なも~り~さんの言葉がスゴクわかり、またまた共感しました!

僕は4年前に友達と山登りを始め、お互いの登り方とか感じ方の違いとで色々あったんですが、が故に、真の相棒になってきました…そんな時に、友達が昔からの夢だった海外での生活をすることを決め、去年の夏にとりあえず二人での最後の登山に北岳に登りました!初日は雨、風がスゴくて、『なんでこんなツライことしてんねやろう…』って、ホント辛くなり、泣きながら登りました…(^。^;)
その次の日は天気も回復して、素晴らしい、まさに絶景が見れました!
だから山登りは止められへんねんな~!なんて思ってたのですが、何か達成感が物凄くあって、自分の山登りは北岳で完結した感じになり、そしても~り~さんが素敵な仲間と出会われたのと同じく、色々あったけど、ホントかけがえのない仲間、相棒になっていたので、この別れで先が見えなくなってきてました…そして11月に旅立ち、僕は心に穴が空いた状態になってしまい、山のことも忘れかけていました…
でも最後に『山の事忘れたらアカンで!』って言ってくれた言葉を思い出し、このかけがえのない友達との出会い、そして山との出会いを無駄にしないで、次に繋げて行きたい!って前向きになれた頃、正月にNHKでの栗城史多さんの番組を見て感動し、ファンになり、ブログを見るようになり、栗城さんの『一歩を越える勇気』と言う本を読み、そして自分も新しい一歩を踏み出すべく、地元のサークルに入り、一度スノーシューに参加したりしました!も~り~さんが体験した出会い程まだ大きいものではないのですが、でも今の僕にとっては大きな出会いになりました!
そして初めて一人でも山に出掛けるようになった頃、栗城さんのブログの『恐れるもの』というところにコメントされていたNaoyamanさんのコメントを何気に読み、何気に名前をクリックし、Naoyamanさんのブログの『本当にあった山ドラマ』ってのを何気に読み、物凄く感動し、何かに導かれるかのようにとんとんと『山のたまてばこ』にまで辿り着いちゃいました!
まさにビックリたまてばこです(笑)
山と出会い、山を好きになった事で、こういう素晴らしくも不思議な出会いに結び付き、繋がってんな~!ホント見えない何かで結ばばれてるな~…って何か鳥肌が立ちました(σ▽σ)!!
会ったこともない方に『新しい仲間』と言って頂きホント感激です!
そして相棒と出会い山と出会い、栗城さん、Naoyamanさん、そして素敵な出会いをされたも~り~さんは僕にとって一生忘れることのない出会いになりました!
感謝します(^人^)
…でも、今だに栗城さんのブログにはカキコミをした事がない僕なんですけど…(^。^;)
も~り~さんの八ヶ岳での強烈な体験を共有した仲間の繋がりってホントなかなか出来ないかけがえのない出会いだと思います!
大事にして下さいね(v^-゜)
長々と失礼しました…m(_ _)m

ありがとうございます

GFコージーさん
いつもコメント、ありがとうございます。

新進気鋭でオリジナリティ豊かな登山家の栗城史多さん、
この冬だけで5回も富士山に登るNaoyamanさんと来て、
ぼくのブログでは、レベルが違いすぎて、
逆に恐縮です。

GFコージーさんの、山への思いを語って頂き、
ありがとうございます!
「山のこと、忘れたらアカンで!」って言ってくれる友達、
最高ですね。
きっと、GFコージーさんと山には、お二人しか知らない思いがあるんだろうな、と思います。

山を通じて出会った人達って、どうして、こんなに共感しあえるんでしょうね?

一足でも早くピークを征服することが使命のプロフェッショナルは別でしょうが、少なくとも、ぼくみたいなアマチュアは、山に登り、下りてくるというプロセスにかけた時間とかエネルギーとか、目に飛び込んだ景色とか寒さや暑さ、そういうもの全部にかけた互いの思いを、認めあうからなのかなあ、と思ったりします。

そんなプロセスは、インドアでも、ゴルフでも、テニスでも、同じように有るのでしょうが、山の特別なところは、やはり、無事に下山を喜びあうまでに共有するリスクの高さを、言葉にしなくとも、理解しあっているからなのかもしれませんね。

さて、雪の八ヶ岳に登って以来、GFコージーさんやNaoyamanさんを、はじめ、
「カッコいいです」と暖かいコメント頂きまして、うれしいやら、恥ずかしいやら、コソバユイやらです(笑)。
ぼく自身、まったく思いもよりませんで。。

まだまだ経験不足のぼくが、なぜ、みなさんから暖かく受け入れられたのか、
自分なりに考えてみたいな、と思います。

きっと、ぼくなりに山にかけてきた「プロセス」を、
みなさんがポジティブに感じてくださったからだと思います。

でも、みなさんに助けられて、やっと一つのプロセスを終えたのも事実です。
ぼくも、ここに留まらず、体力をアップし、経験を積み、そして、モチベーションを持続させて行きたいなーと思います。
このプロセスを経て再び、山の仲間が、強くて暖かい力を分けてくれるんだな、と思っています。

みんな素敵です!

栗城さんもスゴイ!
Naoyamanさんもスゴイ!
も~り~さんもスゴイ!
それとちょっと覗いてみたんですが、フジケンさんもスゴイ!
それぞれ違うけど、皆さん素敵な生き方をされていて、羨ましいです!

カッコイイものはカッコイイ!って感じですよ(^O^)b

僕はまだまだこれからなんですが、色々共感でき、ここまで熱くなってしまい、こんなにまでコメントを書いてしまってこちらこそ恐縮でした(^。^;)

また遊びに来ます(^o^)/

ぜひ、ぜひ!

GFコージーさん

フジケンさんのところにも、
遊びに行かれたのですね!
フジケンさんと、その師匠のペアハット氏は、
ぼくを八ヶ岳へとズルズルと引きずり入れて頂いた
恩人です(笑)。

今後も、遊びにきてくださいね~。


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「山のたまてばこ」について

自然の中で過ごすのは、とても気持ち良いですよね。その楽しさから得られる気づきを子ども達と分かち合いたい、その思いから、「自然科学塾 山のたまてばこ」を主催しています。「山たま」は、自然のつながりの中にある不思議を、体験学習を通じて感じ、気づき、考えようとするプロセスを支援する場です。 企業の皆様には、「サミット・コンサルティング」から、登山を通じたチームビルディングをご支援しています。

プロフィール

も~り~

Author:も~り~
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド(ステージ2)。

長野県諏訪郡富士見町を拠点に、主に南・北八ヶ岳、北アルプスでガイド活動を展開中。スウェーデンのクングスレーデンを歩いて以来、ロングトレイル・トレッキングの楽しみ方を、積極的にご紹介しています。

経営コンサルタントの経験を持つガイドとして、企業の支援にも力を入れています。

自然体験活動分野では、清里KEEP協会のインタープリターズ・キャンプ修了。子供たちが自然に親しむお手伝いも大切にしています。

山で出会ったこと、身の回りの小さな自然や子供たちの様子を、つづって行きます。

スウェーデン社会研究所 会員
公認会計士
経営学修士 (MBA)

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