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自然の中で楽しむこと、自然を使わせて頂くこと(私見) - 2015.02.19 Thu

八ヶ岳が好きだから、自然を守り、安全を確保しながら、八ヶ岳を紹介したい。
ぼくは、その立ち位置をはっきりさせたくて、山麓に雨風しのげる拠点を探し、登山ガイドのライセンスも取得しました。
一方、ますます山のアクティビティは多様化し、例えば、ご一緒する登山客の方にとって、トレイルランは無関係なこととは言えなくなりました。ぼく自身、人ごみが大の苦手なので大勢で賑わう大会には出ませんが、一人で山をジョギングすることもあります。

先日、環境省から出されたトレイルランニング大会に関する取扱いをめぐり、山で自然を使わせて頂く個人として、今の状況を、出来るだけ俯瞰的に整理してみたいと思います。
この記事は、あくまで、ぼく個人の私見であり、特定の団体等を代弁するものではないことを、申し添えます。
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最近では、トレイルランニングと自然保護や登山者とのバランスが取上げられることが多くなりました。
まもなく環境省から公表される「国立公園におけるトレイルランニング大会等の取扱い」(以下、取扱)も、その一連の動きと考えられます。2月15日に開催されたその事前説明から数日が経ち、Web上にも、トレイルランナーサイドから様々な記事がアップされるようになりました。

環境省のホームページには、その説明会の趣旨が、以下の通り、説明されています。

1 趣旨
近年、山岳地の利用形態が多様化する中で、自然豊かな国立公園等をフィールドとしたトレイルランニング大会等が多数開催されています。多数の参加者が一斉に狭い歩道を走行することとなる大会等について、歩道周辺の自然環境への影響、歩道の損傷及び他の公園利用者の安全で快適な利用の妨げ等が懸念されています。
 自然公園法は、国立公園内の歩道を走ることを制限するものではありませんが、国立公園の保護及び適正な利用の推進を図るため、国立公園におけるトレイルランニング大会等の取扱いについて検討しています。
本件は、環境省としてまとめたトレイルランニング大会等の取扱いについて、広く意見を伺う機会を設けるものです。
https://www.env.go.jp/press/100282.html

ぼくは、ここで、個々のアクティビティの魅力はさておき、ミクロ経済学というツールの目を通して、ぼくなりに全体の動きを整理してみたいと思います。

一般論ですが、市場では財の需要と供給がバランスするところで均衡し、価格が決まります。
しかし提供される財が、無償で使用できる、例えば空気だとしたら、空気の使い手は、自分達が望むままに空気を使用し、その代償もなく汚れた空気を大量に排出し、結果として、人間全体としては大きな損害を被ります。この状況は、ミクロ経済学の言葉で「市場の失敗」と呼ばれます。

そこで、特に公共に関する場合、市場の調整に任せず、政府が使用量に制限を設けるために、例えば、浄化設備投資の義務付けのように、コストを負担した人だけが使用出来るようにする等、規制をすることは、良く知られています。

この「空気の使用や排出」を「自然の中で楽しむ活動」、すなわち登山やトレイルランニング等のアクティビティと置き換えても同じだと思います。その他、林業、農業などに従事して自然を使用する方、その土地の所有を法律で守られている方、自然をそのままに残そうとする方もおられるので、自然をめぐる当事者の思いは複雑です。

今回、環境省は、「国立公園の保護及び適正な利用の推進を図る」ことを目的としており、「自然公園法は、国立公園内の歩道を走ることを制限するものではありません」とする一方、説明会のQ&Aの中で「関係各所と調整しながら決定するのが望ましい」という説明をされているようです。

このことから、政府は、自然をめぐる市場というか関係者の中で、自然の使用について調整する段階にあると認識しているのでしょう。その上で、今回の「取扱」は、「その調整を促すための方向性を明らかにした」と捉えることが前向きだろうと考えます。概ね、「取扱」そのものについては、既にこれまでトレイルランをめぐるの中で、議論された事項も多く、環境省も様々な調査を重ねられた結果だと思います。

留意すべきは、関係各所どうしの調整が失敗すれば、政府が何らかの規制に動くだろうと予想できるということ。
もうひとつ、市場の調整が失敗した場合、政府は、自然を取り巻く関係者のうち、どの立場に近いだろうか、ということです。いじわるな見方をすると、自分が政府の立場に近いと思う人は、無理して調整に応じないかもしれません。

ぼくが思うポイントは、各々の立場だけではなく、自然環境に関わる政府の立場を考えることも大切ではないかな、ということです。その見方によって、それぞれ、今後のシナリオが分かれてくるものと思います。少なくとも、例えば、これまでのまま、それぞれの立場でアクティビティの魅力や配慮を、互いに訴えただけで、均衡に至るのは難しいかもしれません。

また仮に、調整の交渉力を強めようと団体を作って主張を展開する場合も、その立場次第では、その影響力が圧倒的に強いかどうかはわかりません。

ひとつ登山に関わる者として思うこと。自然は、ひとたび猛威を振るえば、人間など、一たまりもありませんが、ごく平静な普段は、人間に対して弱者です。木々も育たない高山に咲く小さなお花は、たとえ踏みつけなくても、大勢の人が通り、足が当たってだけでも落ちてしまう脆弱なものです。そして、行列をなし、大きな声でおしゃべりし、あまり評判が良くない中高年の登山者も、実は、体力や技術的に不安を抱える弱者です。弱者だから、群れをなして行動しているのです。

その自然が荒れて行くリスク、接触による転倒など自然の中で事故が起きるリスクの一因が、我々人間にあるならば、自然をめぐる関係者の調整には、弱者を守る、という共通の思いが、大切だと思います。

IMGP6972.jpg
(6月、八ヶ岳中信高原国定公園に含まれる八ヶ岳連峰の権現岳の前衛、三ツ頭直下、標高2500M付近の登山道脇に咲くコイワカガミ。)

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「山のたまてばこ」について

自然の中で過ごすのは、とても気持ち良いですよね。その楽しさから得られる気づきを子ども達と分かち合いたい、その思いから、「自然科学塾 山のたまてばこ」を主催しています。「山たま」は、自然のつながりの中にある不思議を、体験学習を通じて感じ、気づき、考えようとするプロセスを支援する場です。 企業の皆様には、「サミット・コンサルティング」から、登山を通じたチームビルディングをご支援しています。

プロフィール

も~り~

Author:も~り~
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド(ステージ2)。

長野県諏訪郡富士見町を拠点に、主に南・北八ヶ岳、北アルプスでガイド活動を展開中。スウェーデンのクングスレーデンを歩いて以来、ロングトレイル・トレッキングの楽しみ方を、積極的にご紹介しています。

経営コンサルタントの経験を持つガイドとして、企業の支援にも力を入れています。

自然体験活動分野では、清里KEEP協会のインタープリターズ・キャンプ修了。子供たちが自然に親しむお手伝いも大切にしています。

山で出会ったこと、身の回りの小さな自然や子供たちの様子を、つづって行きます。

スウェーデン社会研究所 会員
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