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2017-10

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初めてづくし _ 北岳バットレス! - 2010.10.05 Tue

”胸壁(バットレス)は朝日に向かって胸を張り出していた。ごつごつした岩面が輝き、岩稜に食い込む岩溝(ガリー)の雪が、胸壁の高度感を補っていた。(中略)「あれが第四尾根のマッチ箱だ」蜂谷道太郎のピッケルの石突でさされる岩は、稜線に置かれたマッチ箱を側面から見る感じがあった。「あそこが最も厄介だということになっている・・・・」”
(「縦走路」新田次郎 新潮文庫)

立っているより椅子に座っている時間の方が、はるかに長い日常が始まった月曜日。
幾分太くなった太腿と、一日中履いていたクライミングシューズの中で剥がれた右親指の爪の痛み。
ロボットのような歩き方で満員電車に乗りました。
無我夢中だったけど、ぼくは確かに、あの岩壁に登ったんだ。
週末の2日間に初体験した数々の出来ことが、だんだんと自分の中に染み入っていくようです。

山で出会った自然や人の繋がりに感謝しながら、初めての北岳登攀の様子を書いてみます。

10月1日、いつもお世話になっている山岳ガイド 成田賢二さんから一本のメール。
土日で、前穂高方面に行く予定でしたが、日曜日は天気が崩れそう。
「どんなに遅くてもいいですから、金曜日中に、清里までこれますか?」
あちこちを何とか調整して、清里の「ペンションまんてん星」に到着。
「土曜日は、長丁場になりますが、早朝に出発して北岳バットレスを日帰りしましょう」と、成田さんの提案。
清里の夜空は、降ってくるような星空でした。

10月2日、朝四時、乗合タクシーに乗り換える芦安に向けて清里を出発。

広河原に到着して見上げる北岳。
標高3,193Mの日本第二位の高峰です。
でかいです!

さあ、初めて北岳に登ります!
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二俣で、北岳肩の小屋の若大将 森本千尋さんと待ち合わせ。
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(右が森本さん。国体入賞経験を持つ駅伝や山岳競技のアスリートであり、現役の陸上自衛官でもあります。)

北岳バットレスは、古くからアルパインクライマーが登ってきました。
その分、支点となるハーケンやボルトが痛んだいたり、大量の古びたスリング(紐)が残置されています。
今回の山行では、成田さんと森本さんが協力して、第四尾根ルートの支点整備が行われました。
山を守る活動の場に立ちあったのは、初めてです。

山にハーケンを打ちなおす音を響かせ、古いスリングを一本一本ナイフで切り取り、新しい支点をセットしてゆく、手間と時間のかかる作業。
一日かけて切り取った古びたスリングは、ほんとうに山のように積み重なりました。

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(右:支点をセットする成田ガイド)

森本さんから伺った山を守るお話、感動しました。
改めて、別の記事で書いてみたいと思います。

北岳バットレスには、幾つものルートがあります。
今回は、第五尾支稜に取り付き、第四尾根を登り、頂上付近の登山道に出会った後、頂上を目指すルートです。
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(この岩壁の下部から取り付きます)

まず、成田ガイドが、元気良く青空向けて登ります。
気持ちいい空です!
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途中、第五支尾根から第四尾根に向けて、トラバース。

(トラバースする成田ガイドとビレイする森本さん)

大テラスまで出たら、大休止。
支点整備をやりながらですし、またぼくも、すごく久しぶりの高い山で、バテ気味。
アルプスの山の前では、日々のちょっとばかりのトレーニングや山歩きのメッキは、アッという間にはげてしまいました。
息は切れて、標高が上がると、立っているだけでクラリとします。高度に体が順応していません。

そんな具合で、大分時間を要していますが、青空と始まったばかりの紅葉のコントラストを楽しみながら、軽くランチを取りました。
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大分ガスが上がってきました。

森本さんが、リードで行きます!
クラックに、手と足を突っ込んで、パワフルなクライミングです!
来シーズンは、北岳肩の小屋に来るアルバイトの皆さんを、自分のリードで、この第四尾根に連れてきてあげたいそうです。
アルバイトの皆さん、楽しみに!!
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北岳という山は、太平洋の底に広がっていた玄武岩や海底に蓄積して出来たチャートがプレートに乗って運ばれ、隆起して出来た山で、今でも年間3ミリづつ隆起しているそうです。
チャートにも白っぽいもの、鉄分を含んで赤っぽいものがあります。
PA020080.jpg

さっきまでの青空が嘘のように、ガスに囲まれて、寒くなってきました。
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(成田さんが登ります)

左側が、冒頭の新田次郎の小説にも出てくる「マッチ箱」です。
真四角な岩をイメージしていましたが、10年ほど前に崩れて、尖った岩峰になっていました。
034_マッチ
(「マッチ箱」の懸垂下降を終え、あと2ピッチ登る仲間をビレイするぼく。すごいところに立っているようですが、岩壁に打ち込んだ支点と自分をつないでいるので落ちません。成田さん撮影)

今回、成田さんが、「マッチ箱」の懸垂下降ポイントの支点を、じっくりと時間をかけて整備されました。
その支点を、ぼくたち以外に最初に使う後続パーティ。
ガスで、その姿も、ほとんど見えなくなります。
PA020082.jpg

最後のピッチ。
真っ白な空に向けて登る森本さん。
PA020079.jpg

岩登りは終わりましたが、頂上は、まだ上です。稜線をめざします。
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(成田さん)

下を見下ろすと、もう真っ白です。
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ぼくは、もう息絶え絶えです。
その時、一足早く稜線に出た成田さんが、「晴れてるよ~!」
おおっ、頂上は、すぐそこです。
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この道は、森本さん達、山小屋のみなさんが整備して下さった道です。
岩を登って疲れたぼくは、ほんとに、ありがたい道でした。
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そして、「ブロッケンだよ!」
ん??
あっ、みえますか、雲に浮かぶ西日に照らされたぼくの影。
ほんとは、虹の中に影があるんですが。
初めて見た「ブロッケン」です!

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さぁ! 初めて、北岳の山頂に立ちました。
そして、これはぼくにとって初めての標高3,000Mを超える山頂。
そして、初めての百名山。
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(お揃いのPatagonia Houdini Full-Zip Jacket。通称”ペラペラなやつ”。重宝してます。オレンジ:成田ガイド、グリーン:ぼく)

それより、何より、山で生きる皆さんと一緒に、ここに立てたことが嬉しいです!

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(森本千尋さん。北岳を愛する気持ち一杯の笑顔が素敵な優しくて、力持ち。)

この日は、山頂に着くのが遅くなったので、森本さんが守る北岳肩の小屋に泊めて頂きました。
PA020110.jpg
(紅葉のナナカマドの向こうに肩の小屋)

常連さん達が一杯の、アットホームな雰囲気が心地よい山小屋でした。
実は、古き良き山小屋、初体験でした!
消灯まで、成田さん、森本さんと楽しくお話をして過ごしました。
標高3,000Mで見る星空は、綺麗でしたよ!

10月3日。
天気が崩れる予報です。
ガスを通して朝日が差してきました。
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標高3,000Mにある北岳肩の小屋。
厳しい自然の中にありますが、暖かくて、大好きな場所になりました。
今度は、登山道を、のんびり歩いて、訪れてみたいと思ってます。
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朝6時過ぎに下山を開始。
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(下山途中で見た雲海と富士山。やっぱり高い山で見る景色は、格別です!)

昨夜、家を空けたので、出来るだけ早く帰宅しようと、足早の下山です。
コースタイム約4時間のところ、2時間少々で広河原まで降りて来ました。
振り返ると北岳。
頂上は、ガスに隠れていますが、あそこに居たんだなぁ、と思いながら、ホッとした気持ちも半分です。

PA030158_fin.jpg

今回の山行、初めての北岳、初めての岩山登攀、初めての標高3,000M等、初めてづくしで感動一杯でした。
ぼくのクライミング自体は、日頃の運動不足が露呈して、トレーニングの必要性を痛感・・・・。
それでも、山のプロの皆さんとご一緒することで、山を守る活動や人の繋がりを感じられたことを、何より嬉しく思っています。

山を守ること、それは、また別の記事にしてみたいと思います。

成田賢二さん、森本千尋さん、北岳肩の小屋で出会ったみなさん、どうも、ありがとうございました!

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(ぼくも、頑張りました。マッチ箱の上のリッジ。成田さん撮影)

【追伸】
帰宅したら、娘のももちゃんが、ぼくと遊ぼうと、外出しないで待っていてくれました。
近所の公園に、おやつをもって行きました。
その公園には、小さな盛り土の山があります。

「パパ、お山にのぼろう!」と、ぼくを”山登り”に誘ってくれました。

小さな山頂にゴザを引いて、一緒に食べたおやつは、とてもおいしくて、山頂に広がるクローバーのマットに二人で寝そべって、少しトロトロしました。
これもまた、どんなに高い山頂にも負けない、やさしい山頂でのひとときでした。

● COMMENT ●

お帰りなさい!

北岳登頂おめでとうございます!
しかもあの岩壁を登られたのですね!スゴい!の一言です!
僕も去年の夏に登ってきましたよ!
もちろん登山道でね(^_^;)
1日目は予報が外れ荒れた雨風で体感温度は真冬並みに中、ホント泣きながら登り、なんとか肩の小屋に着き、山小屋の有り難さを感じました!
2日目には見事なご来光に、最高に綺麗な絶景が見れて、僕も北岳でたくさんの感動をもらい、ツラくも大切な思い出が出来ました!
肩の小屋のオヤジさんの笑顔がなんとも言えず温かかったので、写真を撮らせて頂きましたが、あの笑顔を思い出しました!
また行きたい素敵な山、そして山小屋ですよね!
いや~!でもあの壁を!
ホント、スゲー!スゲー!
せっかく行ったのに、ゆっくりされたら良かったのに…と思ったんですが、パパの帰りを待っててくれたももちゃんとの話にホッコリとしつつも、どんな高い山頂にも負けない…って言うのに、無事に帰ってきたも~り~さんと、ももちゃんとのシーンが頭に浮かびジーンとしちゃいましたよ~!
親子の絆がまた深まったんじゃないですか!?
待っててくれる人がいる!って、単純なことかも知れませんが、なんて幸せなことなんだろう!って、危険で過酷な経験をすると、特に思いますよね!
また感動させてもらいました(^o^)b
も~り~さん!改めて…
『お帰りなさ~い(^o^)/』

かえりました

GFコージーさん
まいどです!

GFコージーさんの北岳は、親友と登った思い出深い山でしたね。
良い山ですよね、北岳。
肩の小屋も、ホッコリ暖かな山小屋ですね。

北岳山頂はもう冬ごもりの準備。
順序が逆ですが(笑)、来年は、高山植物を見ながら、登山道をのーんびり歩いて、肩の小屋を訪ねてみたいなーと思っています。


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足跡 ( 2009.11.11 - )

「山のたまてばこ」について

自然の中で過ごすのは、とても気持ち良いですよね。その楽しさから得られる気づきを子ども達と分かち合いたい、その思いから、「自然科学塾 山のたまてばこ」を主催しています。「山たま」は、自然のつながりの中にある不思議を、体験学習を通じて感じ、気づき、考えようとするプロセスを支援する場です。 企業の皆様には、「サミット・コンサルティング」から、登山を通じたチームビルディングをご支援しています。

プロフィール

も~り~

Author:も~り~
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド(ステージ2)。

長野県諏訪郡富士見町を拠点に、主に南・北八ヶ岳、北アルプスでガイド活動を展開中。スウェーデンのクングスレーデンを歩いて以来、ロングトレイル・トレッキングの楽しみ方を、積極的にご紹介しています。

経営コンサルタントの経験を持つガイドとして、企業の支援にも力を入れています。

自然体験活動分野では、清里KEEP協会のインタープリターズ・キャンプ修了。子供たちが自然に親しむお手伝いも大切にしています。

山で出会ったこと、身の回りの小さな自然や子供たちの様子を、つづって行きます。

スウェーデン社会研究所 会員
公認会計士
経営学修士 (MBA)

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