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2017-08

NORDWAND - 2010.04.02 Fri

 岩壁を登る前 下から見上げると
 ”こんな壁、登れるわけがない。無謀だ。”と思う
 でも数時間後 登り切って下を見るとすべてを忘れる
 頭に浮かぶのは 大切な人のことだけ
      ----------トニー・クルツ

山の小説や映画を見ると、時々、その根底に共通のテーマがあるように思います。
それは、「冷静な判断を欠いたまま自分の思いを貫こうとする人が、その人を見捨てておけない優しく、正義感のある仲間を巻き添えにしてしまう」ことです。

新田次郎の小説でも、何度も直面しますし、この映画にも、同じものを感じます。

「山に登る」という同じ行為でも、実は その動機が、人によって様々・・・ということがあるかもしれません。
そして、極限になればなるほど、その動機の違いが、大きな岐路を生むのかもしれません。

”アイガー北壁”
名称未設定 2

一方で、屈強な肉体と、卓越した技術、そして気高い正義感を持つ山の男達が、
限界状況の中で、自分の敵であったはずの人間ですら、一人の命として、助けようとする。

なぜ、なんでしょうね。

山に登る人なら、誰しも、危険度の”絶対的”な大小にかかわらず、
「自分が決めて、自分で動かなければ、何も解決しない」状況に直面し、
息があがり、そして「還るんだ」と意を決することが、一度や二度は、あるのではないでしょうか。
その時、仲間に励まされ、助けてもらったと感謝することも、あるのではないでしょうか。

そんな経験の中に、小さな小さなヒントがあるのかもしれないなぁ、と思います。

さて、
話は変わって、小さな小さなぼくの身の回りの出来ことです。

今朝、通勤時間帯には少し遅い朝の駅でのこと。

年長さんくらいの男の子が、小さなリュックを背負って、駅の階段を駆け上ってゆきました。
「ハイキングにでも行くのかな?」と背中を見送ったのですが、しばらく上まで登ったところで、階段を蹴りだした子供の足がすべり、体が前方に放り出されました。
むこうすねを打ちつけて、足に力が入らないはずです。

「滑落だ !」と思いました。

その子の服装は、厚手のナイロンらしいツヤのある生地で出来たダウンジャケット。
石でできた階段の角を滑り、どんどん加速してゆきそう。
足が階段に引っかかったら、頭を下へと回転してしまうかもしれません。

幸い、ぼくは今朝ノートPCを会社に置いてきていたので、ビジネスバッグを階段に手早く置いて、その子が、滑り落ちるルートに体を入れて、抱きかかえて止めることが出来ました。

その子を抱いて、立たせてあげる頃、若いお母さんが
痛そうにむこうすねを さすりながら、照れくさそうにうつむく子に、
「走っちゃ、ダメって言ったでしょ!」と言いながら、駆け寄ってきました。

お母さんは、ぼくに小さな声で、ひとこと、「すいません。」と言っただけでした。

別にいいんです。
その時、ぼくは、こんなことを思っていました。

山から、帰ったばかりで、よかった
体をスムーズに動かせて、よかった
岩に登って 腕に力をつけていてよかった
踏ん張って、子供を 止められてよかった
ぼくの娘と同じ年頃の子どもに、けがが無くてよかった

だけど・・・・・、
その子が転んだとき、滑りおちるとき、ぼくが抱きかかえたとき・・・・・。

階段を乗降する大人は、誰一人、その子供に目を向けませんでした。
これが、都会の正義なのでしょうか。

都会に住むぼくも、この正義に従った方が、長生き出来るのでしょうか。

映画「アイガー北壁(NORDWAND)」を見た都会の人は、
人が生きようとする様、生かそうとする様を、どのように感ずるのでしょうか。

IMGP1510.jpg

<追伸>
映画自体は見終わった後、壮大なスケールとリアリティ感から、自分が八ヶ岳のバリエーションルートを一本上ったくらい疲れた実感です(ちょっと、大げさですが)。
山に全く馴染みのない方には、「これって、単なる山系・・・映画?」という、会話をしているカップルもいました。
あまりに壮大なスケールに圧倒されたのかもしれません。

● COMMENT ●

カッコイイ!

も~り~さん!Good Job!(^o^)b

冒頭のトニーの言葉、カッコイイですね!

子供に限らず、危険な目に遇ってる人、困ってる人に手を差し延べることって簡単なことのようですが、行動に移すことはなかなかできてないかもです…
都会では人が多い分、誰かが…って感じになっちゃうんですかね…
山では確実にそんなことないですもんね~!
何なんでしょうね?何がそうさせてしまうんですかね?
自分も、も~り~さんのような人間でありたいと思います…

『アイガー北壁』見られたんですね!
気にはなってましたが、正直あまり見ようとは思ってませんでした…(^。^;)
やっぱり疲れるんですね(笑)
体力がある時に見るようにします(^。^;)

そういった意味でも、体力的にも精神的にもカッコよくて強い男になりたいですね!(笑)

アイガー北壁!やっぱ見た方がいいですかね~??

どっちでしょうね~

GFコージーさん
>アイガー北壁!やっぱ見た方がいいですかね~??

リアリティが好きな方には、いいかも・・です。
GFコージーさんも、大切な友達と山をやられていただけに、
かなり、感じ入るところがあるんじゃないでしょうか。

ただ、事実にもとづく、ラストシーンを見てどう思うか・・・・。
それは、う~ん、なんとも言えません。
ある種の米国映画みたいに、スカッとした気持ちで、劇場を出るタイプとは、
違うように思いますので・・・・、どうでしょう。

ぼくは、観て良かった、と思ってます。


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「山のたまてばこ」について

自然の中で過ごすのは、とても気持ち良いですよね。その楽しさから得られる気づきを子ども達と分かち合いたい、その思いから、「自然科学塾 山のたまてばこ」を主催しています。「山たま」は、自然のつながりの中にある不思議を、体験学習を通じて感じ、気づき、考えようとするプロセスを支援する場です。 企業の皆様には、「サミット・コンサルティング」から、登山を通じたチームビルディングをご支援しています。

プロフィール

も~り~

Author:も~り~
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド(ステージ2)。

長野県諏訪郡富士見町を拠点に、主に南・北八ヶ岳、北アルプスでガイド活動を展開中。スウェーデンのクングスレーデンを歩いて以来、ロングトレイル・トレッキングの楽しみ方を、積極的にご紹介しています。

経営コンサルタントの経験を持つガイドとして、企業の支援にも力を入れています。

自然体験活動分野では、清里KEEP協会のインタープリターズ・キャンプ修了。子供たちが自然に親しむお手伝いも大切にしています。

山で出会ったこと、身の回りの小さな自然や子供たちの様子を、つづって行きます。

スウェーデン社会研究所 会員
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