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2010-03

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岩の声を聞く - 越沢バットレス (Updated) - 2010.03.31 Wed

”鳩の巣駅で電車を降り、多摩川にかかっている橋の上から眺めると渓流に釣糸を垂れている人の姿が小さく見えた。(中略)淑子は初めてであるから、だまって美佐子の後をついて行った。その細い道が、越沢バットレスに行く登山者のための専用道路だった。・・・・(中略)・・・・
「ようし登って来て」
淑子は力の限り美佐子に呼びかけた。そして彼女は自分がどうやらいっぱしのロッククライマーになれた事実を確かめるように、手に握っている赤いザイルをきつく握りしめたのである”
「銀嶺の人(上)」新田次郎

その日、いつもお世話になっている山岳ガイド 成田賢二さんにお願いして、
きっちりと雪山の練習をする予定でした。
しかし、山には春の嵐がやってきました。

IMGP7725.jpg
(清里 成田さんの自宅前で)

朝日が昇るにつれ、薄日が差しているように見えましたが、南アルプスはもちろん、八ヶ岳も全く見えません。
雪山はあきらめて、関東一円のどこかで、ピンポイントで晴れて来そうな場所をさがし、練習先として清里から向かった先は、奥多摩でした。

以前、マウンテンバイクで走り回っていた奥多摩の山ですが、久しぶりに来ました。そして練習場となったのが、越沢(こいさわ)バットレスです。

ぼくは、ここを訪れたのは初めてですが、新田次郎の小説にも描かれた場所で、
山岳登山の歴史ある練習場であることは、知っていました。
小説「銀嶺の人」の描写そのとおり、沢沿いを登っていくと そこに到着しました。
P3290015.jpg

正面から見たバットレスです。
all.jpg

到着した時、小雪が舞い、山も濡れていて、岩に触ると指が凍りそうなほど冷たく、じっと様子を伺っていると、薄日が差して、急速に、岩が暖まってきました。
ぼくは、すっかり記念撮影を済ませて、てっきり引き上げると思っていたので、改めて準備です。

これは、成田さんが、リードでルートファインディングする様子です。
ぼくは、下でビレイをして、成田さんを支える役目をしています。
P3290047.jpg
(成田さんの右方向、岩場の中央の黒い部分は、湧き出た冷たい水が流れてツルツルでした。)

P3290048.jpg
(成田さん:”オレ、かっこ良くないっすか!! ”かっこいいっス!パチリ。)

ぼくは、成田さんがセットした金具とロープに支えられて登る練習なので危険はなく、体の使い方、バランスの取り方、ガッツにトライします。

中央から左寄りのルートを、正面左方向に回り込んで、2つか3つ(2Pか3P)登ったあたり。
フーッと息を吐くと、薄日の暖かさと、風の音と、小鳥の音だけが、耳に入りました。
ふと、目の前の岩が、じっと腕を組み、眼を閉じたまま、ぼくに話しかけている気がしました。

「わたしは、じっとしている。今も昔もじっとしている。おまえは、どうするのだ?」

指が岩に、しっかり、掛かっています。
「ここで、行きます」と心の中で、答えて、
「成田さーん、登りまーす!」と大きな声を上げました。

clime2.jpg
(成田さん撮影)

登り終えて、ぼくの口から思わず、「登らせて頂いて、ありがとうございます」と言葉が出ました。
指導してくれる成田さんに対しては勿論ですが、この山に対して、自然にそう思いました。

あと一本、むかって右方向、最後のピッチが滑り台のような形をしたルートを登り、降りてきた時には、日が傾き始めていました。

ロープのテンションに体を預けながら、懸垂下降で順番に降ります。トップの成田さん
P3290065.jpg

続いて、ぼくもおります。
upzilen2.jpg
(成田さん撮影)

春の山里を下ります。
向こうに、JR中央線 鳩の巣駅を見ながら・・・・。

P3290086.jpg
(里を見下ろす成田さん)

レベルとしては、ガイドブックでは、Ⅳ+程度の入門ルートでしたが、
新田次郎の小説「銀嶺の人」の場面を、自らの経験として描けることに、特別な感慨を覚えました。
一方で、クライミングシューズやウェア、ギアなどの進歩に助けられているのも事実だと思います。
登山靴で山登りの練習をしてきた、諸先輩方の努力に敬意を払います。
P3290034.jpg

登山でも、山歩きでも、余裕をもって安全に楽しむ目的で、
しっかりとした技術を持つガイドさんの指導を受けて、
”攀じ登る”練習をすること、
自然の変化を敏感にとらえて対話をすることには、
意義があると思いました。

そして、生きる強さ、生命力を蓄えた気がします。
ありがとうございます。

成田賢二さんのブログ記事へ
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「山のたまてばこ」について

自然の中で過ごすのは、とても気持ち良いですよね。その楽しさから得られる気づきを子ども達と分かち合いたい、その思いから、「自然科学塾 山のたまてばこ」を主催しています。「山たま」は、自然のつながりの中にある不思議を、体験学習を通じて感じ、気づき、考えようとするプロセスを支援する場です。 企業の皆様には、「サミット・コンサルティング」から、登山を通じたチームビルディングをご支援しています。

プロフィール

も~り~

Author:も~り~
公益社団法人 日本山岳ガイド協会認定 登山ガイド(ステージ2)。

長野県諏訪郡富士見町を拠点に、主に南・北八ヶ岳、北アルプスでガイド活動を展開中。スウェーデンのクングスレーデンを歩いて以来、ロングトレイル・トレッキングの楽しみ方を、積極的にご紹介しています。

経営コンサルタントの経験を持つガイドとして、企業の支援にも力を入れています。

自然体験活動分野では、清里KEEP協会のインタープリターズ・キャンプ修了。子供たちが自然に親しむお手伝いも大切にしています。

山で出会ったこと、身の回りの小さな自然や子供たちの様子を、つづって行きます。

スウェーデン社会研究所 会員
公認会計士
経営学修士 (MBA)

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